筆記具紹介39 パイロット オートマック

PILOT オートマック/Automac

パイロット オートマックシャープペンシル

さて、今日はこんな変わり種を1本。
パイロットが誇るオートマチック式シャープペンシル・オートマックです。

■概要
パイロットが2011年11月21日に発売したダブルノック機構・オートマチック機構が特徴のシャープペンシル。ブラックとダイアモンドシルバーの2色展開、3000円(税抜)の製品です。

この「オートマック」という名称は、かつてのパイロットが販売していたシャープペンのモノで、その名前を受け継いで復活したのが当製品…いわば復刻版的な扱いということになるのですが、実は色々と疑問点が~。…とま、その話は次の記事に回すこととして、今回は本製品の紹介としましょうか。…それでは。

■上軸(鞘)

オートマックの後軸

まずは上軸(鞘)から。ストレートな形状の軸に小さくシンプルに「Automac」「0.5 PILOT JAPAN」と印字。オートマチック機構の説明が記載されたシールが貼り付けられています。

3000円のシャープペンと言うと、ついつい舶来ブランド品やデザイン製品を想像してしまいがちですが、本製品はパイロットの気合(?)が詰まった工業製品スタイルで、派手な装飾や主張するようなデザインを省いた、無駄のない造りをしています。

一見無骨なクリップは1枚板で可動域が広く、付け根がスッキリしているので奥まで深く差し込むことができる優れモノ。抑えとなる「玉」の部分は丸く加工され、挟んだものが傷つかないように配慮がなされています。正に実用に即した質実剛健タイプと言えるでしょう。

(余談ですが、このクリップの玉の部分は一度形状が変更されています。(写真のものは変更後です)ー変更される前は、先端部分が滑らかに膨らんだ形をしていました。参考:ものぐさ博物館)

上軸(鞘)はアルミニウムに塗装したものを使用。内部にダブルノック機構を仕込むためか薄く仕上げられていて、見た目に反して非常に軽量です。

この軽さはバランス感の向上に一役買っていますが、金属感・剛性感と行った点ではやや希薄と言えるかもしれません。(とは言え、そこらのシャープペンよりはしっかりしていることは間違いなしですが)

なおシルバーはごく普通の銀色塗装ですが、ブラックに関しては写真の通り、なぜだかラメ加工のような塗装になっています。ここは普通の黒…もしくはマットブラックの方が良かったような気もしますが…どうでしょうか。

ノックパーツは硬度表示・芯径表示無しの円柱形。軸部の質感と差が出ないよう、丁寧に面取り処理されています。

ダブルノック式なので使用する時は1度深く押し込み、それから再度浅くノック。面倒にも思えますが、慣れるとこれが意外と楽しく、一連の動作がクセになってきます。(もちろん、オートマチック機構があるので芯は繰り出さず、そのまま使用しても良いでしょう。)

ダブルノックの動作は非常にスムーズで良好ですが、その一方芯繰り出し時のノック感はあまり良いとは言えず、芯を直接押し出すような、鈍い感触になっています。(コレはオートマチック式の宿命ですが…)

なお消しゴムはこの手のシャープとしては珍しい針なしタイプ。意外にもドクターグリップと同じモノ(HERF-10)を使用しています。

■前軸・グリップ

オートマックのグリップ

さて、今度は目線を前に移してグリップ部分。
金属製のシャープペンとしてはやや太めの部類(φ0.9mm)と言えるでしょうか。実測4cm近くもあるグリップは真鍮(黄銅)に梨地クロム仕上げで、後軸とは打って変わって重厚な質感です。

グリップに横と縦の切れ込みが十字に入り、交差することでローレットになっているのが大きな特徴です。(同じような加工のペンとしては、ぺんてるのグラフレットなどがありますね)

十字ローレットシャープ色々

ペン自体が重たいのでついつい強く握りしめてしまいがちですが、意外とローレット自体の保持力があるので無理に力を入れず、優しく握るのが良いでしょう。

■先端

先端部、グリップの付け根から口金に相当する部分までは一体構造です。

紡錘型の口金にコーンチップタイプの先端形状は恐らく複雑な内部機構を入れ込むためだと思われますが、あまりスマートではないですよね。

オートマチック機能を作動させるためには口金が紙に触れること(=近づけること)が必須ですから、ココはもう少し視認性に配慮した、鋭い作りが良かったように思います。

また、オートマチック機構そのものについても…その性能は微妙な所です。

ガタつきこそ少ないものの、先端が紙に触れると…すなわちオートマチックが作動すると、金属が擦れる感触がして書き心地が大幅に悪化します。

特に筆記角(傾き)が大きい持ち方をしていると、パイプが当たって度々字がかすれてしまい、そうなるともう、書き心地云々ではなく実用性の問題に。

0.5mmと決して芯の減りが早い芯径でもないですし、無理してオートマチックを作動させて使う必要は無い気がしました。

(もし今後0.3mmなど他の芯径の展開が望めるのであれば、今度は製図用シャープに準じた、鋭いガイドパイプにして貰えればと思う所です。それから「オレンズ」に代表される先端の研磨加工も。…って、欲張りすぎでしょうか…。)

■分解

さて、最後は分解の全体像です。
今まで見てきた「外装」の中にはこんなに立派な内軸が入っていたのですね。

オートマチック機構内蔵・ダブルノック対応と「良く収めたな」と言わんばかりの詰め込み仕様。前側は金属、後ろ側は金属に樹脂をかぶせた構造で、コレ単体でも筆記できてしまいそうなぐらいにしっかりとしています。

前と後ろをつなぐ接合部は金属ネジ。昔のダブルノック式シャープは軸が劣化して「パリーン」といってしまう軸割れが多かったのですが、本製品はその心配はなさそうです。多分。(正直、後軸が薄いので不安といえば不安ではあります。)

■使用感
ざっくり言うなれば、「使いやすいけど、疲れやすい」でしょうか。

流石3000円もするパイロット肝入りの製品なだけあり、全体を通した使用感はとても良好です。クリップや塗装など細部に至るまで丁寧に処理されており、程よく前よりな重量配分に綺麗なローレット加工、そしてガタつきの少ないダブルノック機構も◯。

一方でフルメタルの代償、26グラムもの重さが筆記時の疲労に直結しているのも事実です。いい作り、いい重量配分と言えど、やっぱり重すぎますね…。0.5mmのため芯も太りやすく(=軸を適度に回転させる必要がある)、個人的には「疲れやすい」部類のペンだと感じました。

高い質感に楽しいギミック、そして現行品であるという安心感が嬉しい一本。…ですが、中々主力にはなれない…そんな感じです。惜しいんですけどね~。

■おまけ
オートマック自体に関してはこんな所でしょうか。
今回はオートマックに関連するペンを色々と比較しながら、本記事の締めへ参りたいと思います。

それでは、もう少しだけ。

□オートマックE

オートマックとオートマックE

冒頭でもお話した先代オートマック…こと「Automac E」です。

どう見ても似てなかったり、実は機能も全く違ったりと「関連性あるの?」…となってしまいそうな所ですが、その辺りはまた次回の記事にて詳しく解説したいと思います。

□ファーバーカステル オートマチック式シャープ・アルファマチック エグゼクティブ

ファーバーカステル オートマチック式シャープ・アルファマチック エグゼクティブ

ファーバーカステルの「alpha-matic」は、同社「TK-matic」と並んでかつてのオートマチック式シャープの代表的な存在です。

オートマックとの共通点はオートマチック式であることだけですが、十字型のローレットと言い、口金の雰囲気といい、何となく似ているような気がしました。 特にシルバーモデルの「TK-matic L」は、それはもう、そっくりです。気になる人は調べてみると良いでしょう。(管理人は入手できませんでした)

□パイロット ダブルノック式シャープ(奥2本)

パイロット ダブルノック式シャープ(奥2本)

一般に「ハイメカホルダー」として知られるパイロットのダブルノック式製図用シャープです。(劣化によって軸が「パリーン」といってしまう当事者です)
太さや素材こそ違うものの、何となく似た雰囲気がありますよね。

因みにパイロットにはもっとそっくりな「Automatic」というシャープペンがあったのですが、それについては次の記事で詳しく紹介する予定です。しばしお待ちを〜。

□ぺんてる オレンズネロ

オートマックとオレンズネロ

3000円、自動芯繰り出し、過去の製品技術を復活、製図用ライクな一般モデル…比べるなと言う方が無理があるのが、ぺんてるのオレンズネロです。当ブログでも過去に記事にしていますね。

正にライバルと言ってもいい存在なのですが…しかし。

オートマックが発売されたのが2011年、オレンズネロが発売されたのが2017年と5年以上ものリード期間があったにもかかわらず、ネットや市場ではオレンズネロばかりが話題になり、オートマックは忘れ去られた…とまでは言わないものの、置いてけぼりをくらってしまっている状況になっています。(Googleの検索トレンドの結果でも一目瞭然です)

検索するとわかることですが、オレンズネロに関連する記事は溢れかえっている一方、オートマックは僅か数記事しか存在していません。店頭でも同じ様な状況で、レジ横にオレンズネロ、レジ下にオートマック…みたいな…。

どちらも良いペンです。別に勝負をしているわけでもないでしょう。でも、オレンズネロがこんなに持て囃される(ひねくれた見かたですが)なら、オートマックももっと評価されても良いペンなのに…と強く思います。

パイロットももう少し広報に力を入れていれば…と今になって悔やまれる所です。

■製品情報
製品:パイロット シャープ オートマック
品番:HAT-3SR-B(ブラック)/HAT-3SR-DS(ダイアモンドシルバー)
発売:2011年11月21日
価格:3000円(税抜)
芯径:0.5㎜
重量:26g(実測)

■あとがき
オートマチック機能は述べた通り微妙で、そこに期待するとがっくり来るかもしれません。ーですが、「現行品として買える金属製のダブルノック式シャープ」として考えると十分過ぎるものではないでしょうか。

今は大量生産・大量消費がスタンダード。なので時代にはそぐわないかもしれませんが、一生モノになるんじゃないかと、久々にそう感じさせてくれる一本です。

クリップ玉の形を簡略化する(=低コスト化)など苦しい面も見られますが、ずっと販売され続けてほしい所です。もっと流行ると良いなぁ…。

コメント

  1. ぺんてる/pentel より:

    教えられる範囲で良いので教えて欲しいのですが、廃番はどのようにして手に入れていますか?

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