ロットリング500の変遷

〈この記事は「文写館」の記事を加筆修正をした上で移行したものです〉

ロットリング不朽の名作、Rotring500。

フラグシップでこそ無いものの、普及価格帯としてプロユースからも、一般ユーザーからも強い支持を得ている製図用シャープペンです。

…今でこそ黒い軸・赤い輪のイメージがありますが、長い歴史を誇るロットリング500。実は全く違った見た目をしていた時代があったのです。


ズラッと並べて。全て”ロットリング500″です。
どれも現在は販売されていない古いタイプで、今では殆ど目にすることがありません。今回はそんなオールドスタイルなロットリング500をご紹介〜。…それでは。


順を追って紹介していきましょう。ーまずは一番奥の小豆色のものから。

これはロットリング500の中で最も古く、1980年代に販売されていたもの(多分)。
ロットリングのトレードマークの赤い輪(=Rot ring)が無く(後に赤輪付きのタイプも登場しました)、ロゴの印字が白。…今とは随分違った見た目をしており、まさに黎明期~と言った感じです。

同時期のロットリング製品に多く見られた小豆色の軸に、下一桁が芯径を表している(0.5㎜が505、0.7㎜が507、と言った具合に)印字があるのが大きな特徴です。

真ん中のロットリング500は黒軸に未塗装のローレット。当時好評を得ていたRotring600(1989~)のデザインに寄せたんだとか。販売時期は1990年代初頭~中期で、それほど長くは無かったらしいです。小豆色のタイプの面影を残しながらも、現行タイプに大分近付いていますよね。

上記2つの内部構造はこんな感じに。同じ構造…即ち互換性ありです。プラチナのプレスマンのようなクッション機構がついており、強い筆圧がかかるとバネが吸収して芯が僅かに引っ込むようになっています。

高い精度が要求される製図用でクッション機構、あまり見かけない組み合わせですが、当時は受け入れられていたのでしょうかね~。

…と話を戻して、最後は手前のグレー(公式は”グレイ”だったはず…。)軸。現行の黒軸と同時に発売されたタイプで、造りも同じです。発売時期は定かではないですが、1996年にはすでにこの形になっていたようです。

無塗装のローレットから軸の色に合わせたローレットへの変更、1200円から1000円への値下げ(後にこちらも1200円になりますが)、そしてクッション機構の廃止などが特徴です。

しばらくはブラックとグレーの2色展開で販売していましたが、イマイチ人気が出なかったのかグレイ軸は生産中止となってしまいました。

以上、旧型”500″3種類。細かなデザインは変われど基本形状は変わらず。ステップがついた見やすい先端部・ガタつきが無い一体化した口金とローレット・転がりにくい六角軸。これぞ機能美…なんて。

何十年経っても決して見劣りしていない。完成されたデザインです。

う~ん、どれも良いですね。

時代に合わせて伝統の形を維持しつつ変化してきたロットリング500。これからもまだまだ変わっていくのかも…しれません。

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